温泉と一口に言っても、その中身は施設ごとに大きく異なります。
「お湯がやわらかい」「体がぽかぽかする」「肌がつるつるする」などの違いは、温泉に含まれる成分(泉質)によるものです。
日本では温泉法に基づき、温泉成分の種類が明確に分類されています。
この記事では、温泉施設や現場でよく話題になる代表的な温泉成分の種類について、特徴を中心にわかりやすく解説します。
温泉成分(泉質)とは何か
温泉成分とは、地下から湧き出たお湯に含まれる溶存物質やガス成分のことを指します。
一定の条件(温度や成分量)を満たしたものが「温泉」として認められ、その成分構成によって泉質が分類されます。
泉質は主に以下の3つの視点で分類されます。
- 含まれる主成分の種類
- 成分の量
- お湯の性質(酸性・アルカリ性など)
一般の利用者が目にする「〇〇泉」という表記は、このうち主成分による分類です。
単純温泉
単純温泉は、刺激の少ない成分構成が特徴です。
溶け込んでいる成分量が比較的少なく、無色透明でにおいも弱い場合が多い泉質です。
現場では「クセがないお湯」「入りやすいお湯」と言われることが多く、
年齢を問わず利用しやすいのが特徴です。
長時間の入浴や繰り返しの利用でも体への負担が少ないとされ、
観光地の温泉や日帰り温泉施設でもよく見られます。
塩化物泉
塩化物泉は、食塩成分を主に含む温泉です。
入浴後に体の表面に塩分が残りやすく、保温感が続きやすいと感じる人が多い泉質です。
湯冷めしにくいことから、寒冷地の温泉や冬場に好まれる傾向があります。
施設側では、配管や金属部分への影響を考慮する必要がある成分でもあります。
炭酸水素塩泉
炭酸水素塩泉は、いわゆる「重曹泉」と呼ばれることもある泉質です。
皮脂や汚れを落としやすい性質があり、入浴後に肌がなめらかに感じられることがあります。
現場では「お湯がやわらかい」「肌触りがいい」と言われることが多く、
女性客からの人気が高い傾向があります。
硫酸塩泉
硫酸塩泉は、硫酸イオンを多く含む温泉です。
比較的さっぱりとした浴感で、関節部位の温まりを実感しやすいと言われています。
無色透明な場合が多く、見た目では単純温泉と区別がつきにくいこともありますが、
成分分析表を見ると違いがはっきりします。
二酸化炭素泉(炭酸泉)
炭酸泉は、二酸化炭素を多く含む温泉です。
湯の中で細かい気泡が肌に付着するのが特徴です。
温度が低めでも体が温まりやすいと感じられることがあり、
近年は人工炭酸泉も多くの施設で導入されています。
天然炭酸泉は管理が難しく、湧出条件や設備維持に注意が必要な泉質です。
硫黄泉
硫黄泉は、硫黄成分を含む温泉で、独特のにおいが特徴です。
白濁や淡い色がつく場合もあり、「温泉らしさ」を強く感じる泉質の一つです。
成分が揮発しやすく、空気に触れることで変質しやすいため、
現場では換気や設備管理に気を配る必要があります。
酸性泉
酸性泉は、pH値が低く、酸性度の高い温泉です。
殺菌力が強いとされる一方、肌への刺激を感じる場合もあります。
施設では注意喚起表示を行うことが多く、
長時間入浴や敏感肌の利用には配慮が必要とされています。
放射能泉(ラドン泉)
放射能泉は、微量の放射性物質を含む温泉です。
日本では法律に基づいた安全基準の範囲内で管理されています。
無色無臭の場合が多く、見た目や浴感では判断しにくい泉質です。
温泉成分を知ることで楽しみ方が変わる
温泉成分の種類を知ると、
「今日はさっぱりしたお湯に入りたい」
「湯冷めしにくい温泉を選びたい」
といったように、目的に合わせた温泉選びがしやすくなります。
また、成分表示を見ることで、その温泉がどんな特徴を持っているのかを理解でき、
入浴体験そのものがより深いものになります。

まとめ
温泉成分は、見た目だけでは分からない重要な要素です。
それぞれの泉質には特徴があり、管理方法や浴感も異なります。
現場を知る立場としても、成分の違いを正しく理解しておくことは、
利用者への説明や施設運営において大きな意味を持ちます。
温泉は「どこで入るか」だけでなく、
「どんな成分のお湯に入るか」で楽しみ方が変わるものです。


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