サウナのロウリュとは?|アロマ水・アロマストーンの仕組みと水かけの漏電リスクを現場スタッフが解説

入り方・サウナ

サウナ好きの間ですっかり定着した「ロウリュ」という言葉。熱したサウナストーンに水をかけ、蒸気を立ちのぼらせるあの光景に、憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。最近では、スタッフがタオルで熱波を送る「アウフグース」とセットで、ロウリュを目玉にした施設も増えています。

この記事では、温浴施設で働く現場スタッフの視点から、ロウリュとは何か、サウナとの関係、香りを楽しむアロマ水・アロマストーンの仕組み、そして意外と知られていない「自分で水をかけることの危険性(漏電リスク)」までを解説します。ロウリュの魅力を正しく理解して、より安全に楽しむための知識としてお役立てください。

ロウリュとは?|サウナストーンに水をかけて蒸気を出すこと

ロウリュ(löyly)とは、もともとフィンランド語で、熱したサウナストーンに水をかけて発生させる蒸気そのもの、あるいはその行為を指す言葉です。高温に熱された石に水がかかると、一瞬でジュワッと蒸発し、サウナ室内の湿度が一気に上がります。

この蒸気が体を包むと、実際の室温以上に熱さを感じ、発汗が促されます。乾いた熱さの「ドライサウナ」に対して、ロウリュは湿度を加えることで、まろやかで体に染み込むような熱さを生み出すのが特徴です。フィンランドでは伝統的なサウナの入り方として古くから親しまれてきました。

ロウリュとサウナの関係|ドライサウナとの違い

そもそもサウナは、ストーブでサウナストーンや室内を温めて楽しむものです。サウナストーブの仕組みや、どうやってあの高温を作り出しているのかについては、サウナはどうやって温めている?で詳しく解説しています。ロウリュを理解するうえでも、まずストーブの仕組みを知っておくと納得しやすいはずです。

湿度が「体感温度」を変える

日本で長く主流だったのは、湿度が低くカラッとした「ドライサウナ」です。室温は高いものの、湿度が低いため汗が乾きやすく、比較的長く入っていられます。一方、ロウリュで湿度を上げると、同じ室温でも体感の熱さがぐっと増します。汗の蒸発が抑えられ、熱が体にこもりやすくなるためです。

つまりロウリュは、「室温を上げずに、湿度で体感温度を上げる」テクニックとも言えます。この湿度のコントロールこそが、ロウリュの気持ちよさの核心です。ちなみに、湿度の高い蒸気は換気とも深く関わっており、サウナ室や浴室の湿度・空気管理の考え方は、温泉における換気の重要性とは?にも通じるところがあります。

セルフロウリュとアウフグース

ロウリュには、利用者が自分で水をかける「セルフロウリュ」と、スタッフが水をかけてタオルで熱波を送る「アウフグース(熱波サービス)」があります。セルフロウリュが可能な施設では、備え付けの柄杓(ひしゃく)で自分のペースで蒸気を楽しめます。一方アウフグースは、決まった時間にスタッフがパフォーマンスとして行うことが多く、熱波を全身に浴びる迫力が人気です。

アロマ水・アロマストーンで香りを楽しむ

ロウリュの楽しみをもう一段引き上げてくれるのが、「香り」です。蒸気に香りをのせることで、視覚・触覚に加えて嗅覚でもサウナを味わえます。ここで登場するのが、アロマ水とアロマストーンです。

アロマ水(ロウリュ水)

アロマ水とは、水にアロマオイル(精油)を加えたもので、これをサウナストーンにかけると、蒸気とともに香りが立ちのぼります。白樺(ヴィヒタ)、ユーカリ、ミント、柑橘系など、施設によってさまざまな香りが用意されています。清涼感のあるミント系は夏に、温かみのあるウッド系は冬に、といった季節の演出をしている施設もあります。

アロマ水は、専用に希釈されたものを使うのが基本です。原液のアロマオイルをそのままかけるのは、引火のリスクや石・設備への影響があるため適切ではありません。施設が用意したロウリュ水を使う、あるいは決められた濃度に薄めて使うのが安全な楽しみ方です。

アロマストーン

アロマストーンは、香り成分を含ませた石や、香りを楽しむために設計されたストーンで、サウナストーンの上に置いたり、そばに配置したりして使われます。水をかけるたびにほんのり香りが広がる仕組みで、アロマ水よりも穏やかに香りを楽しめるのが特徴です。家庭用サウナやテントサウナでも手軽に香りを取り入れられるアイテムとして人気があります。

香りの感じ方には個人差があり、精油の種類によっては体質に合わないこともあります。心地よく楽しむためにも、強い香りが苦手な方は無理をせず、体調に不安があるときは使用を控えるとよいでしょう。

【重要】自分で水をかけるのは危険|漏電リスクを知っておく

ここが、この記事でもっとも伝えたいポイントです。ロウリュに憧れるあまり、セルフロウリュが許可されていない施設で、勝手にサウナストーブへ水をかけてしまう方がいます。これは絶対に避けてほしい行為です。

電気ストーブへの水かけは漏電・故障の原因に

多くの日本の施設では、サウナの加熱に電気式のサウナストーブを使っています。電気ストーブは、内部に電熱線(ヒーター)や電気系統を備えています。ここに想定外の水がかかると、漏電やショート、故障の原因になりかねません。最悪の場合、感電や火災といった重大な事故につながる危険性も否定できません。

「サウナストーンに水をかけるだけでしょ?」と思うかもしれませんが、ストーンの隙間から水が電気部分に達したり、大量の水を一度にかけて内部に浸水したりするリスクがあります。セルフロウリュ対応のストーブは、こうした水かけを前提に設計・防水されていますが、そうでないストーブに水をかけるのは設計外の使い方であり、非常に危険です。この漏電リスクについては、サウナはどうやって温めている?|ストーブの種類と「水かけ」の漏電リスクを現場スタッフが解説でも踏み込んで解説しています。

必ず「セルフロウリュ可」の施設・設備で

ロウリュを楽しみたいときは、必ずセルフロウリュが許可されている施設で、備え付けの設備を使ってください。サウナ室に柄杓とロウリュ水が用意され、「セルフロウリュOK」と案内されている場合のみ、水をかけることができます。案内がない、あるいは持参した水やドリンクをかける——といった行為は、設備の破損や事故につながるため、絶対にやめましょう。判断に迷ったら、スタッフに「ここは水をかけても大丈夫ですか?」と確認するのが確実です。

他の利用者への配慮も忘れずに

セルフロウリュが可能な施設でも、マナーは大切です。ロウリュで一気に室温・湿度が上がると、熱さが苦手な人にはつらい場合があります。人数が多いときや、周囲に高齢の方・体調のすぐれなさそうな方がいるときは、一声かける、量を控えるなどの配慮があると、みんなが気持ちよく過ごせます。水をかける量も、一度にドバッとではなく、少量ずつが基本です。

ロウリュを安全に楽しむための注意点

最後に、ロウリュを楽しむうえで体調面で気をつけたいことをまとめます。ロウリュは湿度が上がるぶん体感温度が高く、体への負荷も大きくなりがちです。のぼせや脱水を防ぐために、次の点を意識してください。

水分補給はこまめに行うこと。ロウリュで大量に汗をかくため、入る前と後、セット間にしっかり水分をとりましょう。無理をして長く入りすぎないこと。「熱くて気持ちいい」と感じても、体は思った以上に消耗しています。少しでも異変を感じたら、我慢せずすぐにサウナ室を出てください。サウナ後の体調変化やのぼせについては、温泉でのぼせるとは?|症状・原因・予防法と湯あたりとの違いもあわせて読んでおくと安心です。なお、温熱による体への反応には個人差があり、気分が悪くなったり体調に不安を感じたりした場合は、無理をせず利用を中止し、必要に応じて医療機関など専門家に相談してください。

そして、ロウリュでたっぷり汗を流したあとの一杯や食事は格別です。整った体で味わうサウナ後の楽しみは、サウナ飯のおすすめもぜひ参考にしてください。サウナそのものの入り方をおさらいしたい方は、サウナの正しい入り方もどうぞ。

まとめ|ロウリュは「香り」と「安全」を押さえて楽しむ

ロウリュは、熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させ、湿度で体感温度を上げるサウナの楽しみ方です。アロマ水やアロマストーンを使えば、香りをのせてさらに豊かな体験になります。ドライサウナとはひと味違う、まろやかで深い熱さがロウリュの魅力です。

ただし、忘れてはならないのが安全面です。セルフロウリュが許可されていない施設で勝手に水をかけると、電気ストーブの漏電や故障、思わぬ事故を招く恐れがあります。ロウリュは必ず「セルフロウリュ可」の設備で、備え付けのロウリュ水を使って楽しみましょう。香りと熱、そして安全への配慮——この3つを押さえれば、ロウリュはサウナ体験を何倍にも豊かにしてくれます。

参考文献

ひねこじた 温泉

温浴施設で働く現役スタッフ。ガイドブックに載らない温泉の裏側を施設スタッフ目線で発信しています。

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