温泉のお風呂上がり、何して過ごす?|休憩処の楽しみ方を現場スタッフが紹介

入り方・サウナ

温泉から上がった後の、あのぽかぽかした状態。

体の力が抜けて、頭がふわっとして、何もしたくないけど何かしたいような——あの時間が、実は温泉体験の中で一番贅沢な時間かもしれません。

最近の温泉施設は、お風呂だけでなく「湯上がりの過ごし方」にも力を入れています。漫画が数千冊並ぶライブラリー、リクライニングシートが並ぶ休憩スペース、マッサージ、食事処、足湯——館内着のままで半日〜1日過ごせる施設も増えています。

温泉施設で働いていると、お客様の過ごし方は本当に十人十色です。この記事では、温泉の湯上がりをもっと楽しむための過ごし方を一挙に紹介します。

まずは水分補給とクールダウン

楽しみ方の話の前に、まず体のケアから。

温泉やサウナの後は、大量の水分が失われています。休憩処に向かう前に、まず水分補給をしてください。施設内の冷水器、自動販売機、サウナドリンク——手段は何でも構いません。

湯上がりの体はまだ熱を持っています。すぐに動き回るのではなく、脱衣所のベンチや休憩スペースでしばらく座って、体温が落ち着くのを待ちましょう。この「何もしない数分」が、のぼせや立ちくらみの予防になります。

館内着で過ごせる施設が増えている

ここ数年で大きく変わったのが、「館内着」の文化です。

入館時に館内着(作務衣や甚平タイプが多い)を受け取り、入浴後は私服に着替えずにそのまま館内着で過ごせる施設が増えています。これによって、「入浴→休憩→食事→もう一回入浴→また休憩」という自由な過ごし方が可能になりました。

館内着のまま施設内を移動できるので、リラックスした状態を途切れさせることなく、さまざまな設備を楽しめます。「温泉に入りに来た」のではなく「温泉施設で1日を過ごしに来た」——そんな利用スタイルが定着しつつあります。館内着があるかどうかは施設によって異なるので事前に確認しましょう。

休憩処での過ごし方

リクライニングシートでまどろむ

湯上がりに最も人気があるのが、リクライニングシートでのまどろみです。

フルフラットに近いところまで倒せるリクライニングシートに身を委ね、目を閉じる。温泉で温まった体がゆっくりクールダウンしていく感覚の中で、うとうとと微睡む——あの心地よさは何物にも代えがたいです。

個別のテレビモニターが付いているタイプ、仕切りがあって半個室のようになっているタイプなど、施設によって設備は異なります。毛布やブランケットが用意されている施設もあり、本格的に仮眠を取る方もいます。

施設スタッフとしてお伝えすると、リクライニングシートは休日の午後が最も混み合います。確実に使いたい場合は、午前中や平日が狙い目です。

漫画コーナーで読みふける

温泉施設の漫画コーナーは、近年どんどん充実しています。数百冊規模から、数千冊、中には1万冊を超えるライブラリーを持つ施設もあります。

湯上がりのリラックスした状態で、好きな漫画を手に取って読みふける。時間を忘れて何巻も読み進めてしまい、気づいたら3時間経っていた——という方は少なくありません。

漫画喫茶と違うのは、温泉で体がリラックスしている状態で読めること。同じ漫画でも、湯上がりに読むとなぜか面白さが増す気がするのは、リラクゼーション効果のおかげかもしれません。

新聞・雑誌をゆっくり読む

漫画コーナーほど目立ちませんが、新聞や雑誌を置いている施設も多いです。

普段は忙しくてゆっくり新聞を読む時間がない方にとって、湯上がりのソファで新聞を広げる時間は意外と贅沢です。温泉情報誌や旅行雑誌を読んで「次はどこの温泉に行こうかな」と計画を練るのも楽しいです。

テレビ・映画鑑賞

大型のテレビスクリーンが設置された休憩スペースがある施設では、湯上がりにテレビを見ながらくつろげます。スポーツ中継やバラエティ番組を見ながら、のんびり過ごしている常連さんもいます。

最近は、映画が観られるシアタールームを備えた施設も登場しています。リクライニングシートに座って、大きなスクリーンで映画を楽しむ——まるで映画館とスパが融合したような体験です。

お笑いライブや大衆演劇の公演を定期的に行っている施設もあります。温泉に入ってから笑いを楽しむ——昔ながらの温泉文化が現代風にアレンジされた形です。

お食事処で湯上がりグルメ

温泉施設のお食事処は、湯上がりの楽しみの王道です。

定番は、湯上がりの生ビールと風呂上がり飯。施設によってメニューは異なりますが、ラーメン、うどん、カレー、定食、おつまみ——「特別なグルメ」ではなく「風呂上がりに食べたくなるもの」が並んでいるのが温泉施設の食事処の魅力です。サウナ後のサウナ飯も人気です。

館内着のまま食事ができるので、レストランに行くような気構えは不要です。風呂上がりのラフな状態で、好きなものを食べる。この肩の力が抜けた食事体験は、外のレストランでは味わえません。

ただし、食事の後にもう一度入浴する予定がある場合は、食後すぐの入浴は消化に負担がかかるため、1〜2時間は空けてください。

マッサージチェア

温泉で血行が促進された状態でマッサージチェアに座ると、普段よりも効果を感じやすいという方が多いです。

100〜300円のコイン式のものから、最新の高機能モデルまで、施設によって置いてあるマッサージチェアのグレードはさまざまです。人気の高い機種は順番待ちになることもあるので、空いているタイミングを見計らって利用しましょう。

つい気持ちよくて寝てしまう方も多いですが、制限時間が設定されている場合は時間を守ってください。

リラクゼーション・マッサージ施術

マッサージチェアの自動マッサージではなく、プロの施術を受けられる施設もあります。

ボディマッサージ、足つぼ、タイ古式マッサージ、ヘッドスパ、あかすり——施設に併設されたリラクゼーションサロンで、プロの手による施術が受けられます。

温泉で体が温まり、筋肉がほぐれた状態で施術を受けると、普段よりも深いリラクゼーション効果が得られます。予約制の施設が多いので、入館時に予約しておくとスムーズです。

足湯

休憩処の一角に足湯が設置されている施設があります。

大浴場に入った後でも、足湯にはまた違った良さがあります。友人やパートナーと隣に座っておしゃべりしながら足を温める。漫画や雑誌を読みながら足だけ浸かる。館内着のまま気軽に利用できるのが足湯の魅力です。

男女一緒に利用できるので、カップルやご家族で過ごす時間としても人気があります。

物販コーナーでお土産選び

温泉施設の物販コーナーは、意外と楽しいスポットです。

地元の名産品、温泉まんじゅう、入浴剤、温泉の素(自宅で温泉気分を味わえる入浴剤)、タオル、サウナハット、スキンケア用品——湯上がりのリラックスした気分で物販コーナーを見て回ると、ついあれもこれも欲しくなります。

施設オリジナルのグッズを販売しているところもあり、「この施設に来た記念」としてお土産を買っていく方も多いです。地元の食品や工芸品を扱っている施設では、道の駅のような楽しみ方もできます。

ゲームコーナー

懐かしいアーケードゲーム、UFOキャッチャー、卓球台——昔ながらの温泉施設の遊び場が、今も健在な施設があります。

子ども連れのファミリーにはもちろん、大人同士でも湯上がりの卓球は盛り上がります。「温泉卓球」は日本のお風呂文化の一部と言ってもいいかもしれません。

何もしない

あえて最後に挙げますが、「何もしない」という過ごし方もあります。

リクライニングシートに座って、スマホも見ず、漫画も読まず、ただぼーっとする。温泉で温まった体が自然に冷めていくのを感じながら、頭の中を空っぽにする。

現代の生活では「何もしない時間」を持つこと自体が難しくなっています。温泉施設の休憩処は、堂々と何もしないことが許される数少ない場所です。この贅沢さに気づくと、温泉の楽しみ方がもう一段階深まります。

長時間滞在を楽しむコツ

入浴と休憩を交互に

「入浴→休憩→食事→入浴→休憩→おやつ→入浴」のように、入浴と休憩を交互に繰り返すのが、温泉施設を1日楽しむ黄金パターンです。

1回の入浴を短めにして、休憩の時間をたっぷり取る。これが湯あたりを防ぎつつ、施設を満喫する秘訣です。

混雑時間をずらす

お食事処は12〜13時のランチタイム、リクライニングシートは14〜16時のまったりタイムが混み合います。これらの時間帯を避けて利用すると、待ち時間なくスムーズに過ごせます。

浴室も夕方16〜19時頃がピークなので、その時間帯は休憩処で過ごし、空いてきた夜にもう一度入浴する——という戦略もあります。

充電器を持参する

長時間滞在するとスマートフォンの充電が切れがちです。モバイルバッテリーを持参するか、施設内にコンセントが使えるスペースがあるか確認しておくと安心です。

現場スタッフから一つだけお願い

休憩処の利用について、一つだけお願いがあります。

リクライニングシートやソファで寝る際に、靴下を脱いで素足を座面の上に乗せたり、椅子を大きく倒して通路を塞いだり、大きなイビキで周囲の方に迷惑をかけたりすることがあります。

休憩処は共有スペースです。自宅のリビングのようにくつろいでいただきたいのですが、周囲のお客様への配慮も忘れずにお願いします。

まとめ

温泉のお風呂上がりの過ごし方は十人十色です。

リクライニングシートでまどろむ、漫画コーナーで読みふける、新聞や雑誌をゆっくり読む、テレビや映画を観る、お笑いや大衆演劇を楽しむ、お食事処で湯上がりグルメ、サウナ飯を満喫する、マッサージチェアで揉みほぐす、プロのリラクゼーション施術を受ける、足湯で友人とおしゃべりする、物販コーナーでお土産を選ぶ、ゲームコーナーで遊ぶ——そして、何もしない。

最近は館内着のまま半日〜1日過ごせる施設が増えており、温泉施設は「お風呂に入る場所」から「1日を過ごす場所」へと進化しています。

大切なのは、まず水分補給をしてから休憩処に向かうこと。そして、入浴と休憩を交互に繰り返して湯あたりを防ぐこと。この2つさえ守れば、あとは自分の好きなように、温泉施設での時間を満喫してください。

参考文献

  • 環境省「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」(平成31年3月、日本温泉気候物理医学会監修)
    入浴後の休憩と水分補給の重要性、分割浴(短い入浴と休憩の繰り返し)の推奨
  • 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会「温泉療法のイ・ロ・ハ」
    温泉入浴後の休息の効果、入浴と休憩の交互実施による温泉療法の基本
    https://www.onki.jp/
  • 厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動
    入浴後の水分補給の重要性
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html

ひねこじた 温泉

温浴施設で働く現役スタッフ。ガイドブックに載らない温泉の裏側を施設スタッフ目線で発信しています。

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