サウナに入って、途中で気持ち悪くなったり、出た後にめまいや吐き気を感じたりした経験はありませんか?「サウナは健康に良い」と聞いて挑戦したのに、体調を崩してしまった…そんな人は少なくありません。
温泉施設で働いていると、サウナで体調を崩す人を時々見かけます。特に、サウナに慣れていない人や、我慢しすぎる人に多い傾向があります。
実は、サウナは正しく利用しないと、脱水や低血圧などで体調不良を引き起こす可能性があるのです。今回は、サウナで気持ち悪くなる理由と、その対処法について解説します。
サウナで気持ち悪くなる主な原因
サウナで気持ち悪くなる原因は、いくつかあります。
①脱水症状
最も多い原因が脱水症状です。
サウナでは大量の汗をかくため、短時間で体内の水分が失われます。脱水が進むと、吐き気、めまい、頭痛などの症状が現れます。
②低血圧・貧血
サウナの高温によって血管が拡張し、血圧が下がります。その状態で急に立ち上がったり、サウナから出たりすると、脳への血流が不足し、立ちくらみや吐き気を感じます。
③酸欠(換気不足)
サウナ室内は密閉された空間で、換気が不十分だと酸素濃度が低下します。酸欠状態になると、頭痛、吐き気、息苦しさを感じます。
④長時間の我慢
「もう少し頑張ろう」と無理して長時間サウナに入り続けると、体温が上がりすぎて、吐き気や気分の悪さを引き起こします。
⑤温度差による血圧変動
サウナと水風呂を交互に入る際、急激な温度変化によって血圧が乱高下します。この血圧の変動が、心臓や脳に負担をかけ、気持ち悪さに繋がります。
⑥空腹・満腹時の利用
空腹時は低血糖になりやすく、めまいや吐き気を起こしやすいです。逆に、満腹時は消化のために血液が胃腸に集中し、脳への血流が不足して気分が悪くなります。
脱水症状のメカニズム
サウナでの脱水症状について、詳しく見てみましょう。
サウナで大量の汗をかく(コップ1杯分)
サウナでは、短時間で大量の汗をかきます。10分間のサウナで、コップ一杯分の汗をかくこともあります。
血液がドロドロになる
体内の水分が減ると、血液の水分も失われ、血液がドロドロになります。血液の流れが悪くなると、脳や内臓への酸素供給が不足します。
吐き気、めまい、頭痛
脱水が進むと、次のような症状が現れます。
- 吐き気、気持ち悪さ
- めまい、ふらつき
- 頭痛
- 口の渇き
- 尿の色が濃くなる
これらは、脱水症状のサインです。こうした症状が出たら、すぐに水分補給が必要です。
重度の脱水は危険
脱水が重度になると、意識障害や熱中症を引き起こし、命に関わることもあります。
「少し気持ち悪い」程度でも、軽く見ずに対処することが大切です。
低血圧・立ちくらみが起こる理由
サウナで低血圧や立ちくらみが起こるメカニズムを解説します。
血管拡張による血圧低下
サウナの高温に体が反応して、血管が拡張します。血管が広がると、血圧が下がります。
この状態で急に立ち上がると、重力によって血液が下半身に溜まり、脳への血流が一時的に不足します。
急に立ち上がると脳への血流不足
サウナで座っていた状態から急に立ち上がると、起立性低血圧と呼ばれる現象が起こります。
脳への血流が減ることで、立ちくらみ、めまい、視界が暗くなる、吐き気などの症状が現れます。
サウナ→水風呂の温度差
サウナから出て、すぐに水風呂に入ると、血管が急激に収縮し、血圧が急上昇します。その後、水風呂から出ると、再び血圧が下がります。
この血圧の乱高下が、気持ち悪さや吐き気の原因になります。
酸欠(換気不足)の危険性
サウナ室内の酸素不足も、気持ち悪さの原因になります。
サウナ室内の酸素濃度低下
サウナ室は密閉された空間で、多くの人が同時に利用すると、酸素が消費されて濃度が低下します。
特に、換気が不十分な古いサウナや、混雑しているサウナでは、酸欠状態になりやすいです。
頭痛、吐き気、息苦しさ
酸素濃度が低下すると、次のような症状が現れます。
- 頭痛
- 吐き気
- 息苦しさ
- ボーッとする感覚
- 集中力の低下
これらは、脳が酸素不足になっているサインです。
換気が悪いサウナは要注意
換気扇が回っていない、窓やドアが常に閉まっているサウナは、酸欠のリスクが高いです。
もし、サウナ室内で息苦しさを感じたら、すぐに外に出ましょう。
「ととのう」と「気持ち悪い」の違い
サウナ愛好家がよく言う「ととのう」という状態と、「気持ち悪い」という状態は、まったく別物です。
適切なサウナ:心地よいリラックス
「ととのう」とは、サウナ→水風呂→休憩のサイクルを適切に行うことで得られる、心地よいリラックス状態のことです。
特徴:
- 適度な疲労感
- 心地よいだるさ
- リラックスした気分
- 頭がスッキリする
- 爽快感
これは、体が適度な負荷を受けて、リフレッシュしている状態です。
過度なサウナ:体調不良
一方、「気持ち悪い」「吐き気がする」「めまいがする」といった症状は、体が限界を超えているサインです。
特徴:
- 吐き気、気持ち悪さ
- めまい、ふらつき
- 頭痛
- 冷や汗
- 顔色が悪くなる
これは、脱水や低血圧、酸欠などによる体調不良です。
無理は禁物
「ととのう」ために無理をすると、逆に体調を崩します。自分の体調と相談しながら、無理のない範囲でサウナを楽しむことが大切です。
サウナで気持ち悪くなった時の対処法
もしサウナで気持ち悪くなったら、次のように対処しましょう。
①すぐにサウナを出る
少しでも気持ち悪さを感じたら、我慢せずにすぐにサウナを出ましょう。
「もう少し頑張ろう」と思っていると、症状が悪化します。
②涼しい場所で横になる
脱衣所や休憩室など、涼しい場所で横になって休みます。
座るよりも横になったほうが、脳への血流が回復しやすくなります。
③水分・塩分補給
意識がはっきりしている場合は、水やスポーツドリンクを少しずつ飲みます。
脱水を改善し、血圧を安定させるために、水分と塩分の両方を補給することが大切です。

④深呼吸で酸素を取り込む
酸欠が原因の場合は、ゆっくりと深呼吸をして、酸素を取り込みましょう。
新鮮な空気がある場所で、落ち着いて呼吸を整えます。
⑤意識がない場合は救急要請
意識がない、呼びかけに反応しない場合は、すぐに119番通報してください。
また、施設のスタッフに助けを求め、AED(自動体外式除細動器)を準備してもらいましょう。
⑥しばらく安静にする
症状が治まっても、すぐにサウナに戻るのは避けましょう。少なくとも30分〜1時間は安静にして、体を休めます。
気持ち悪くならないサウナの入り方
サウナで気持ち悪くならないためには、次のポイントを守りましょう。
①入る前に水分補給
サウナに入る前に、コップ1〜2杯の水を飲んでおきましょう。
事前に水分補給をすることで、脱水を防げます。

②1回5〜10分を目安に
一回のサウナは、5〜10分程度にとどめましょう。
初心者や体力に自信がない人は、5分程度から始めるのがおすすめです。
③分割浴(サウナ→休憩→サウナ)
長時間サウナを楽しみたい場合は、5分サウナ→5分休憩→5分サウナのように、分割しましょう。
一度に長く入るよりも、分割したほうが体への負担が少なくなります。
④下段から慣れる
サウナは、上段ほど温度が高くなります。初心者や体調に不安がある人は、下段から始めて徐々に体を慣らしましょう。
⑤無理して我慢しない
「○分は入らなきゃ」「周りの人が出ないから自分も我慢しよう」と思う必要はありません。
自分の体調を最優先にして、気持ち悪いと感じたらすぐに出ましょう。
⑥サウナ後の水分補給
サウナから出た後は、すぐに水分補給をしましょう。
失われた水分を補うために、コップ2〜3杯の水やスポーツドリンクを飲みます。
浴室内は保健所の指導で飲食物の持ち込みが禁止されていることが多いので、ウォータークーラーの活用やドリンク専用置き場を使用することをおすすめします。
⑦ゆっくり立ち上がる
サウナから出るときは、急に立ち上がらず、ゆっくり動作しましょう。
まず座った状態で数秒待ち、それから立ち上がると、立ちくらみを防げます。
温度差による危険性
サウナと水風呂の温度差には、注意が必要です。
サウナ→水風呂の急激な変化
サウナ(80〜100℃)から水風呂(15〜20℃)への急激な温度変化は、血圧の乱高下を引き起こします。
高温で拡張していた血管が、冷水で一気に収縮し、血圧が急上昇します。
ヒートショックのリスク
この急激な血圧変動が、ヒートショックを引き起こし、心筋梗塞や脳卒中の原因になることがあります。
特に、高齢者や高血圧の人は、リスクが非常に高くなります。
心臓への負担
温度差による血圧の乱高下は、心臓に大きな負担をかけます。心臓病や不整脈がある人は、特に注意が必要です。
かけ水で徐々に慣らす
サウナから水風呂に入る際は、いきなり飛び込まず、足元からかけ水をして、徐々に体を冷やしましょう。
心臓から遠い部分(足→腰→肩)の順にかけ水をすることで、血圧の急変動を抑えられます。
サウナを避けるべき人・状況
以下のような人や状況では、サウナを避けるか、医師に相談してから利用しましょう。
高血圧、心臓病
高血圧や心臓病がある人は、サウナによる血圧の変動や心臓への負担が危険です。
必ず主治医に相談し、許可を得てから利用しましょう。利用する場合も、短時間・低温・水風呂は避けるなど、慎重に行います。
体調不良時
風邪気味、寝不足、疲れているときは、サウナを避けましょう。体調が悪いときにサウナに入ると、症状が悪化します。
飲酒後
飲酒後のサウナは非常に危険です。アルコールで血圧が下がっている状態でサウナに入ると、さらに血圧が低下し、意識を失うリスクが高まります。
死亡事故も報告されているため、絶対に避けましょう。
妊娠中
妊娠中の高温環境への長時間滞在は、胎児への影響が懸念されます。医師に相談してから判断しましょう。
高齢者は特に注意
高齢者は、体温調節機能や心肺機能が低下しているため、サウナによる体調不良のリスクが高くなります。
利用する場合は、短時間(3〜5分程度)にとどめ、無理をしないことが大切です。
現場で見るサウナでの体調不良
温泉施設で働いていると、サウナでの体調不良を目撃することがあります。
①サウナ室で倒れるケース
サウナ室の中で、意識を失って倒れる人がいます。定期的な巡回で発見されることが多いですが、発見が遅れると危険です。
②脱衣所で気分が悪くなる
サウナから出た後、脱衣所で立ちくらみを起こして倒れるケースもあります。血圧の急低下や脱水が原因です。
③救急搬送の事例
重度の脱水や、ヒートショックによる心筋梗塞・脳卒中で、救急搬送されるケースもあります。
特に、飲酒後にサウナに入った人や、持病がある高齢者に多い傾向があります。
④我慢のしすぎが原因
多くの場合、「もう少し頑張ろう」「周りに合わせよう」と我慢しすぎたことが原因です。
自分の体調を最優先にして、無理をしないことが大切です。
温泉とサウナの併用での注意点
温泉施設では、温泉とサウナの両方を楽しむ人が多いですが、注意が必要です。
両方で体力を消耗する
温泉もサウナも、どちらも体力を消耗します。両方を何度も繰り返すと、疲労が蓄積し、体調を崩しやすくなります。
脱水リスクが倍増
温泉でも汗をかき、サウナでも大量の汗をかくため、脱水のリスクが倍増します。
こまめな水分補給が不可欠です。
適度な利用を
温泉とサウナを両方楽しむ場合は、それぞれの利用時間を短くし、回数も抑えましょう。
例:
- 温泉5分→休憩→サウナ5分→休憩→水風呂→休憩
- 1日の合計回数は2〜3セット程度
無理のない範囲で楽しむことが大切です。
当サイトの「温泉で疲れる理由」の記事も参考にしてください。
まとめ
サウナで気持ち悪くなるのは、脱水、低血圧、酸欠などが主な原因です。
サウナで気持ち悪くなる原因:
- 脱水症状(大量の発汗)
- 低血圧・立ちくらみ(血管拡張)
- 酸欠(換気不足)
- 長時間の我慢
- 温度差による血圧変動
- 空腹・満腹時の利用
脱水症状:
- 10分でコップ1杯分の発汗
- 血液がドロドロになる
- 吐き気、めまい、頭痛
「ととのう」と「気持ち悪い」の違い:
- ととのう:心地よいリラックス
- 気持ち悪い:体調不良のサイン
気持ち悪くなった時の対処:
- すぐにサウナを出る
- 涼しい場所で横になる
- 水分・塩分補給
- 意識がない場合は119番
気持ち悪くならないサウナの入り方:
- 入る前に水分補給
- 1回5〜10分を目安
- 分割浴(サウナ→休憩→サウナ)
- 下段から慣れる
- 無理して我慢しない
- サウナ後の水分補給
- ゆっくり立ち上がる
温度差の危険性:
- サウナ→水風呂の急激な変化
- ヒートショックのリスク
- かけ水で徐々に慣らす
サウナを避けるべき人:
- 高血圧、心臓病
- 体調不良時
- 飲酒後(絶対に避ける)
- 妊娠中
- 高齢者は特に注意
サウナは、適切に利用すれば健康やリフレッシュに効果的です。しかし、無理をすると体調を崩す危険性があります。
自分の体調を最優先にして、無理のない範囲でサウナを楽しみましょう。「ととのう」ことよりも、「安全に楽しむ」ことが何より大切です。
【参考文献】


